ピストイア 1  Pistoia

 1. Duomo  ドゥオーモ (Cattedrale di San Zeno) サンゼノ大聖堂

 2. Battistero (Battistero di San Giovanni in corte) サンジョバンニ洗礼堂

 3. Chiesa di San Bartolomeo in Pantano   聖バルトロメオ聖堂

 4. Chiesa di San Francesco  聖フランチェスコ聖堂

 5. Chiesa San Giovanni Fuorcivitas  聖ジョバンニ聖堂

 6. Chiesa dell'Immacolata Concezione  「無原罪の宿り」聖堂

 7. Chiesa e convento di San Lorenzo  聖ロレンツオ聖堂 

 8. Chiesa di San Paolo  聖パオロ聖堂

 

市庁舎 (Palazzo Comunare)
市庁舎 (Palazzo Comunare)

概 要

 ピストイア (Pistoia) は、フィレンツェの北西約80kmに位置する小さな街です。フィレンツェから国鉄を利用すると40分ほどで到着します。プラートの街からは15分ほどです。

 

 国鉄の駅は街の南端にあるので、中心部に行くには、北に約500m歩きます。バスもありますが、中心部には行かないため、結局歩くことになります。

 

 城が南東にあり城壁が街を囲んでいました。現在でも14世紀に建造された城壁を見ることができます。小さな街ですが数多くの聖堂が残っていて、中世から豊かだったことが窺い知れます。

 

パスキ銀行 (Monte dei Paschi di Siena)
パスキ銀行 (Monte dei Paschi di Siena)

 1530年にメディチ家がフィレンツエに戻った以降は、完全にトスカーナ公国の支配下に組み入れられています。

    街の中心部にはドゥオーモ広場があり、午前中は市が立っています。大聖堂の脇には高い鐘楼が立ち、大聖堂の奥には市庁舎 (Palazzo Comunare) が接して建ち、大聖堂の向かいには八角形の洗礼堂があり、その洗礼堂の脇にはポデスタ館 (Palazzo del Podesta) が並び建ち、更にその脇にはシエナの名門パスキ銀行 (Monte dei Paschi di Siena) がある、という宗教界と俗界の建物がこの広場の四方を囲んでいます。

Pistoia 関連情報


7年前の情報ですが、「イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line」に


「Pisotoia 市長レンツォ・ベルティ氏が語る我が町観光自慢」があります。

http://www.japanitalytravel.com/back/shicyo/2008_05/05.html


1. Duomo  ドゥオーモ (Cattedrale di San Zeno) サンゼノ大聖堂


 街の中央に位置し、前には広いドゥオーモ広場があり、全体を見渡すことができます。


 10世紀初めに建設されましたが、1108年に火災で焼失し12世紀に再建されています。

 

 正面には三層のアーチが左右対称に並ぶピサ・ロマネスク様式の建物で、白と緑の大理石で縞模様に装飾されています。

 

 開廊部の中央入口ティンパヌムにはテラコッタ製の聖母子像が見られます。

 

 大聖堂の建物が大きくて、良く見えませんが、切り妻屋根の左右には聖ゼノと洗礼者ヨハネの像が見えます。

 

 

 左手の鐘楼 (Campanile) は高さ67mあり、下部の堅牢さとは異なり、上部はアーチがリズミカルな軽やかさを醸し出しています。

 

 聖堂内は三廊式で、アプシスには「キリストの変容」画が飾られています。

 

    右手中ほどには大理石製の説教壇が在り、中央主祭壇の右手には三面祭壇画と上には復活したキリストを含む、使徒のフレスコ画が見えます。

 

 左右に聖ゼノと洗礼者ヨハネが立ち、天蓋は華やかなバロック様式となっています。

 

 左手にある、キリストの磔刑図の板絵は13世紀のマルコヴァルド (Coppo di Marcovaldo) 作で、キリストの周囲に「キリストの捕縛」、「キリストの鞭打ち」、「十字架降下」、「復活」などが描かれています。

 

 右手側廊にあるヤコブ礼拝堂 (Cappella di San Jacopo) には1287年に制作が開始され、2世紀と言う長い期間をかけ、遂に1457年にブルネレスキ (Brunelleschi) が完成させた、精巧な銀製の祭壇飾り (Dossale di San Giacomo) があります。

 

 最下段はキリストの生涯が15面に彫られ、中層にはキリストと聖母子と使徒が、最上段には荘厳のキリストが天使に囲まれて坐し、脇左右には大天使ガブリエルと聖母像が見られます。

 

地下祭室にはキリストの磔刑像が飾られただけの簡素な祭壇が在ります。   

2. Battistero (Battistero di San Giovanni in corte) サンジョバンニ洗礼堂

 

 大聖堂の対面にある八角形の洗礼堂は14世紀の建造で、ピサーノ (Andrea Pisano) 作。

 

 白と緑の大理石の縞模様で全面が覆われた綺麗な造りです。

 

 

 洗礼堂の中央には全身潜水式の洗礼盤が置かれ、壁の一面の壁龕に在る正面祭壇は金の柱で飾られ、キリストの磔刑を見上げる聖母と聖ヨハネが描かれています。

 

 

 洗礼者ヨハネの立像彫刻が置かれている他は、飾りも無く、外面の華やかさとは異なり、内壁は天井に向けて装飾は無く、煉瓦が見えています。

 

3. Chiesa di San Bartolomeo in Pantano   聖バルトロメオ聖堂

 

 街の中心地から東にバルトロメオ通り (via Bartolomeo) を進むと聖堂と同名の広場に出ます。広くはありませんが、聖堂を正面から見ることができます。

 

 

 聖堂の正面には三か所の入口があり、上には白と緑の大理石が交互に並ぶ半円形アーチが載り、さらにその上に同じ造りのアーチが五個並び、アーチの基に四本のコリント式の柱頭飾りの有る柱が支えています。左右の端には丸窓が、その内側にはニ連式の菱形模様が彫られ、左右均等の均整のとれた見事な造りをしています。

 

 正面入り口上の楣石には左右に大天使に守られたキリストと12使徒の浮彫が見え、像の下には使徒の名前が彫られています。その上には人を襲うライオンが居ます。

 

 聖堂内は三廊式で、コリント式の柱頭飾りのある柱が並んでいます。主祭壇には磔刑のキリスト像が飾られています。

 

 アプシス上の半円蓋には天使に囲まれ、虹の上に座す、荘厳のキリストのフレスコ画を見ることができます。下半分は剥落していますが、上部には鮮やかな色彩が残っています。

 

 左手の中程にある説教壇は、グイド・ダコモ(Guido da Como)、1250年作の大理石で、柱はライオンと人によって支えられています。

 

 

 説教壇の囲いはキリストの生涯の浮彫で飾られています。

 

 

 また柱頭飾りを良く見ると、アーカンサスの中にロマネスク様式特有のライオンや怪奇な動物が彫られていますし、その他にも浮彫が在ります。

 

 

 

 

    側壁には、「受胎告知」、「降誕」、「三博士の礼拝」などキリストの生涯を示す浮彫や、聖人が脇侍する聖母子のフレスコ画などを見ることができます。

    なお、授乳する聖母のフレスコ画を良く見ると、奉納者のものと思われる手が描かれているのが分かります。

 

4. Chiesa di San Francesco  聖フランチェスコ聖堂


 街の西側にある同名の広場に面した大きな聖堂です。


 

 聖堂の正面は白と緑の大理石で縞模様に飾られていますが、側面には飾り大理石は葺かれていません。入口が一か所、上に丸窓が在るだけの簡素なロマネスク様式の聖堂です。

 

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 

 アプシスはステンドグラスで、主祭壇にはキリストの磔刑が置かれています。

 

 内陣の左右には、「傾く聖堂を支える聖フランチェスコ」、「聖痕を受ける聖フランチェスコ」、など、アッシジの聖フランチェスコ聖堂に描かれているのと同様のフレスコ画を見ることができます。ただし、かなり風化が進んでいます。

     注: アッシジの聖フランチェスコ聖堂をご参照ください。

 

 右手奥の祭室にもフレスコ画が見えますが、通常は入室できません。

 

 

 

 左右壁には奥行きの無い祭壇が並び、「東方三博士の礼拝」、「キリストの磔刑」など、フレスコ画も掲げられており、聖フランチェスコ聖堂としては、絵画の数が多いように思われます。

 

5. Chiesa San Giovanni Fuorcivitas  聖ジョバンニ聖堂


 街の中央の大聖堂から見て南に位置し、名前の通り旧市壁の外にあった聖堂ですが、現在ではお洒落な店が並ぶ、大通りのカブール通り (via Cavour) に面しています。


 三層式で白と緑色の縞模様の大きな聖堂は、現代建築として見ても新鮮で、周りの環境に溶け込んでいます。


 

 

 中層部にはアーチが規則正しく並び、最上部の一回り小さなアーチが建物を軽やかに、天に向けて上昇する印象を与える効果を生んでいます。横一列に並ぶアーチの内側の菱形の内の模様は一つ一つが異なり、柱頭飾りもア-カンサスだけではなく、中に人面が在り、奇怪な動物が在り、変化に富んでいます。

    細かな細工を見上げていると首が痛くなりますが、ロマネスク様式の聖堂を訪れる際の、試練の一つと思うしかありません。

 

 側面の飾りを良く見てから聖堂に入ることをお勧めします。なお、現在の入口は大通りに面した側面の真ん中にあり、入口の上の楣石は最後の晩餐の浮彫があります。

 

 キリストの懐にしな垂れ掛る聖ヨハネとテーブルの前でキリストからパンを受けるユダの姿に注目です。

 

 ティンパヌムには中央に聖ヨハネが立ち、左手に人に襲い掛かるライオンが、右手には羊を襲うライオンの彫刻があります。

 

 聖堂内は単廊式です。

 

 アプシスにはステンドグラスが、主祭壇にはキリストの磔刑が飾られています。

 

 

 左手には側壁から飛び出した形態の説教壇を支える柱の柱頭飾りには、アーカンサスの中に鳥が彫り込まれており、柱の元には羊を抑え込むライオンの彫刻が在ります。

 

 説教壇の囲みの中央には4大福音書記者の表象の彫刻が聖書台を飾っています。

 

 説教壇の囲みは聖書を基にした説話からの詳細な浮彫が見られます。

 

 

 その他、聖母子と聖人を描いた多翼祭壇画や、聖母子、ピエタ画が見られます。

 

    ロマネスク様式の聖堂独特の壁の厚さと、窓の小ささから、採光は十分に取り入れられていません。そのために板絵にしても、作成当時の色彩が保たれては居ますが、昼間でも聖堂内は薄暗く、十分に鑑賞するのは困難です。

   

6. Chiesa dell'Immacolata Concezione  「無原罪の宿り」聖堂


 街の北にあるサンタマリアカルミネ聖堂の脇を、更に北にアルメニ通り (via degli Armeni) を進むと城壁の手前に見えてきます。


 聖堂の正面には柱廊がありますが、小さな聖堂です。


 

 聖堂内は単廊式に見えますが、両脇に懺悔室が備わっている三廊式の聖堂です。主祭壇も簡素な造りですが、奥にギャラリーが在ります。

 

 

 左右壁に並ぶ懺悔室が眼を引きます。

 

7. Chiesa e convento di San Lorenzo  聖ロレンツオ聖堂

左手前:Santa Maria delle Grazie サンタマリアグラツィエ聖堂 右手奥:Santa Lorenzo 聖ロレンツォ聖堂
左手前:Santa Maria delle Grazie サンタマリアグラツィエ聖堂      右手奥:Santa Lorenzo 聖ロレンツォ聖堂


 街の中心からブオンファンティ (via Buonfanti) 通りを東北に向かうと、ロレンツオ広場 (Piazza San Lorenzo)  に出ます。


 広場の西側にはサンタマリアデラグラツィエ聖堂 (写真左手前) があり緑の木々の奥に聖ロレンツォ聖堂が見えてきます。

 

 1278年ゴティック様式で建設され、アウグスト派の修道院を併設する大きな聖堂でしたが、ナポレオン時代に廃止されています。

 

 

 入口上のティンパヌムにはキリストの磔刑図の下に修道院長聖アントニオが描かれているのを見ることができます。

 


8. Chiesa di San Paolo  聖パオロ聖堂


 街の中心から南東にある城 (Fortezza di San Barbara) に近いところにあります。


 748年に建造された後、12世紀に再建され、14世紀に現在の形に改修されました。


 

 ロマネスクゴティック様式ですが、内部はバロック様式です。

 

 左手には鐘楼が聳え立ちます。

 

 

 

 

 正面中央の高い入口の上のティンパヌムに両脇に天使を従え、剣を持つ聖パオロの像が見られます。その上に薔薇窓が在ります。

 

 破風の下には柱廊があり、軽やかさを出しています。

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